食文化による地域活性化を目指して

2013/01/09

連載第10回〝身近な食文化を体験できる年末年始〞

年末年始を迎えるにあたり


 皆さんのお手元に本紙が届く頃は、2012年も年の瀬、お忙しい時期かと思います。大掃除や新しい一年を迎えるにために様々な準備をされているのではないでしょうか。そんな多忙な時期ですが、実は食文化を身近に体験する大変よい機会でもあるのです。ここで「まちぐるみ まちぐるめ」を考えてみたいと思います。


地域の個性を(再)体験する


 紙面を通して、「まちぐるみ まちぐるめ」について我々の考えをお伝えしてきましたが、つまるところは「他にはないもの」を「地域の人(いまジモトが中心)」が主体的にそして継続的に情報発信するということが、ICT時代の地域活性化には不可欠な要素ではないかというものです。この「他にはないもの」の一つが食文化であると考えているわけですが、最近は、様々な食材が便利にいつでも調達できるようになったこともあって、食材や調理方法の地域差が昔よりなくなりつつあります。こうしたこともあって、「他にはないもの=自分達の地域固有のもの」を認識する=体験することが減少し、そして情報発信することも減っていると感じられる方も多いかもしれません。ぐるたびの経験からは、まだまだ地域の固有な特徴はあると感じていますが、残念ながら、あまりそれを認識する機会がないのが課題のようです。この点、年中行事の中でも特にお正月は固有の食文化を再認識するには非常によい機会です。また、帰省をされる方も多いことでしょう、実家の食文化と普段住んでいる地域の食文化の違いを再体験できるこのタイミングを是非活かして頂きたいと思います。


例えば「お雑煮」


 お正月の前後に体験する地域固有の味(食文化)としては、年越しそば、おせち料理、お雑煮、七草粥といったものがあります。例えば、お雑煮は、汁の種類(味噌、醤油、すまし)、お餅の形(丸餅/角餅)、お餅の調理方法(焼く地域/焼かない地域など)、その他具材の種類(肉や野菜の違いなどさまざま)などの組み合せで実に多様な地域性が現在にも生きています。最近では、こうしたお雑煮の違いをPRに使ったイベントも見受けられます。何気なく食べているお雑煮ですが、「他の地域との違い」というのは、それ自体が自分達の地域の文化を体験する教育的な側面があるだけでなく、外部に発信すると実に魅力的なコンテンツでもあります。「ご当地」ならではの習慣の違いを楽しむテレビ番組も人気ですが、これも「違い」が有力なコンテンツになる証左でしょう。地域活性化も外部にその活動を知ってもらうことが必要である以上、有力なコンテンツが必要です。


違いの発見と選択と集中へ


 食でまちおこしを行っている事例は多いですが、新規にメニューをつくる場合と、それまであったメニューを活かす場合と二種類あります。どちらにせよ選択と集中が必要で、それぞれに見合った戦略を組まねばなりません。「違い」があればあるほど、それ自体が魅力になる潜在能力もたくさんあります。逆に違いがあまりないとなると、お金をかけてPRを行うといったことに集中せねばなりません。「まちぐるみ まちぐるめ」では、その地域の固有の食文化という元からある「違い」のうち、特に「なくなったら寂しい」というものを優先的に選択することを提案しています。こうした条件を満たすものはより一層多くの人の参加と、その違いを活かした進化の促進、そして違いの魅力を伝える人の参加をより一層募れると考えるためです。地域の魅力そのまま残す努力と、進化させるための集中(=例えば多くの人の知恵を結集させる)させて残すこと、両方が必要です。


情報発信を忘れずに


 お正月だけではなく、年中行事と食文化はセットになって現在に生きている事が多いようです。まずは手始めに今度の年末年始に地域の食を改めて体験してみてください。そして、その体験記は地域の魅力を伝えるコンテンツですから、情報発信もぐるたびでお忘れなく。
 来年も「ぐるたび」をよろしくお願い致します。みなさまよいお年をお迎え下さい。

地域活性化プロジェクト事務局
中井博胤

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