スペシャルインタビュー 東京医科歯科大学 名誉教授 藤田 紘一郎先生

2013/04/08

Doctor
「寄生虫博士」として知られる藤田紘一郎先生は、東京医科歯科大学にて寄生虫による感染症を専門に、国内外を調査する中で、寄生虫や細菌が人間の健康に役立っていることを発見。

腸内細菌と寄生虫の関係から見た、伝統的な食生活の重要性について、寄生虫への愛情をたっぷり込めて語ってもらった。

細菌や寄生虫と人間の素敵な関係

私は生まれてから5歳になるまで、父が陸軍の軍医として赴任していた満洲で育ちました。 戦争末期に命からがら東京に戻ったものの、空襲に追われ、父の故郷である愛媛県大三島に疎開。 その後、食料難の中で大変な苦労をしながらも、三重県の明星村(当時)でやっと一家揃っての暮らしを再開します。

そして、地元の高校から東京医科歯科大学に入学し、整形外科の医師となったのですが、ひょんなことから感染学の世界に入り、当時の奄美大島や沖縄で深刻な問題となっていた寄生虫感染症の調査と撲滅を手伝うことになりました。 結局これが、私の専門分野となるのですから人生は不思議ですね。

腸内細菌が心身を元気にする!

私は沖縄やインドネシアでの調査を通じて、昔から人間が体の中にもっている細菌や寄生虫が何十万年も前から人間と助け合ってきた神秘的な関係に感動し、これをライフワークとすることにしました。

近頃は除菌・抗菌ブームですが、昔から人間と共存してきた細菌は、有害な細菌から人間を守るバリアの働きをしています。 これらの細菌は不潔なバイ菌ではないのです。 腸の中にいる細菌は、食物繊維を人間が消化できる形にしたり、ビタミンなどの人間に必要なものを体内で生成しています。また、免疫を正常に保つ働きをしている、とても重要な生物なのです。

私は腸内細菌が減ったことが、近頃増加しているアレルギー(アトピーや花粉症など)や自己免疫疾患、うつ病などの原因のひとつと考えています。うつ病という病気は、脳内のセロトニンという物質が減少することで起こるのですが、脳にあるセロトニンの元となる物質は腸内細菌が作っています。腸内細菌は身体だけでなく、心の健康も支えているんですね。

つまり、たくさんの細菌が腸内で活発に活動している人ほど心身ともに健康になれるのです。

では自分の腸にいる細菌の量を、どのようにして知ることができるでしょうか。もっとも簡単な目安はウンチの量です。ウンチは食べ物のカスだと思われていますが、実は半分が腸内細菌の死骸で、3割が腸の粘膜、食事のカスは2割以下。ウンチの量や回数が多いということは、腸内細菌が多く、腸内環境が整っている印。慢性的な下痢や便秘で悩んでいる方は、腸内の善玉菌を増やし、毎日快便を目指しましょう。

腸内細菌を増やす食事が大切

腸内細菌を増やすには2つのことが重要です。

ひとつは腸内細菌の大好物である野菜、豆類、発酵食品を食べること。

私は沖縄料理や「インドネシアの納豆」と呼ばれるテンペが大好物なのですが、これらは腸内細菌を増やす食事です。日本の伝統食である味噌、納豆、漬物は、乳酸菌などの善玉菌をたくさん含んでいて、腸内の善玉菌を増やす理想の食事。

もうひとつの重要なことは、防腐剤や保存料が入っているものを食べないことです。

ものが腐るのは細菌が増えるのが原因ですから、それを防ぐ防腐剤や保存料は菌を殺す薬ということです。これが腸内に入れば、腸内で人間のために働いている細菌も殺してしまいます。

日本人の腸内細菌が減ってウンチが減ったのは、毎日のように防腐剤が入った食品を食べていることも大きな原因のひとつです。腸内細菌が死んだ状態では食物線維や発酵食品を食べても効果がありません。防腐剤が使われた食品を避け、伝統的な発酵食品や食物繊維をとって元気な腸内細菌を取り戻せば、下痢や便秘も治ってお肌はツルツル。脳内のセロトニンも増えて心もスッキリ。心身ともに健康な状態が取り戻せますよ。


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