【スペシャル】トークセッション「オーベルジュの魅力について」

2014/05/15

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トークセッション参加者のみなさん
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酒井一之さん

ここでは、4月21日に開催された「オーベルジュの日」レセプションにて実施された、トークセッションの模様を紹介する。司会進行は、有限会社ヴァンセーヌサービス代表取締役の酒井一之さんが務めた。

【参加者】
学校法人服部学園 服部栄養専門学校校長 服部幸應さん
日本オーベルジュ協会理事長 勝又登さん
日本オーベルジュ協会理事 中道博さん
ソムリエ協会 マスターソムリエ 剣持春男さん
シニア野菜ソムリエ 佐藤雅美さん



司会:佐藤さん、箱根そして「オーベルジュ オー・ミラドー」にどのような印象をお持ちですか?

佐藤さん:私は野菜ソムリエとして、北海道から沖縄まで様々な産地を訪れ、そこでの生産者の方たちの取り組みや、食材ひとつひとつに込められたストーリーを発信する仕事をしています。そんな中、勝又シェフとお会いする機会をいただきましたが、「オー・ミラドー」へ伺うのは今日が初めてです。首都圏から2〜3 時間の場所に、このようなお城のような外観と、ため息のでるような素晴らしい空間があるんですね。さまざまなリゾート地がある中で、箱根には箱根山、芦ノ湖などがあり、山を登って訪れるという独特な環境が何より魅力だと思います。この自然あふれるロケーションとお城のような空間でいただく勝又シェフのお料理は、五感に響くとっておきのご馳走だと思いました。
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佐藤雅美さん


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中道博さん

司会:北海道でオーベルジュ「マッカリーナ」を営んでいる中道さん、北海道のオーベルジュ文化、食材の特徴ついてお聞かせください。

中道さん:北海道は食材に恵まれているため、極端な言い方ではありますが、技術いらずで美味しい料理ができてしまいます。それでは、技術とは何だろうかと考えてみると、それはやはり、料理を通して人を喜ばせることに尽きるのではないかと、今あらためて思っています。私が札幌でフランス料理店「モリエール」を始めたのは約30年前です。その12年後に、真狩村(まっかりむら)でオーベルジュ「マッカリーナ」を始めました。お客さんに食事だけではなく印象深い1日を送ってもらいたいと考えた結果、オーベルジュにたどり着きました。私は勝又さんのオーベルジュの存在を雑誌「家庭画報」で知りました。それは本当に衝撃的で、フランスで修行した料理人がこぞって憧れたオーベルジュを日本で始めるなんて、時代を先見するエポックメイキングな人は本当にいるのだなと思いました。勝又さんの存在は、後に私が「マッカリーナ」を作るエネルギーになりました。

今でこそ「地産地消」が大きく叫ばれていますが、私にしてみると地産地消は当たり前のこと。でも地産の食材が必ずしも美味しいわけではありません。地産地消のメリットは、あくまでその土地でとれた鮮度の高いものを食べられること。その利点を生かしつつ、料理のクオリティを追究していかなければいけないと思っています。ほとんどのオーベルジュは、山奥や周りに何もない、人がいないところにあります。でもそれを、自分たちが思っている以上に支持し、評価してくれるお客様が増えています。そのような方たちから、不便な場所にあっても、そこに残されている自然や空気を守ってくれと言われているような気がしてなりません。その期待に応えていくことこそがオーベルジュの使命であり、オーベルジュ文化の発展につながると思います。



司会:今、地産地消というお話がありましたが、料理事情に詳しい服部先生のお話をうかがってみましょう。

服部さん:私が中道さんのお店「モリエール」を初めて訪れた時に、じゃがいもの料理をいただきました。それは、ふかした丸ごと1個のじゃがいもにキャビアをのせたものでした。たまらなく美味しくて、いまだに忘れられない味ですね。北海道へ行くと、そのように本来の姿と味を楽しめるようなじゃがいもを出してくれるお店がほとんどありません。買いたいのではなく、そこで食べたい。そういう気持ちに応えてくれたのが、「モリエール」のじゃがいも料理だったわけです。
日本における食糧自給率は39%と言われています。一番高いのが北海道で1 98%、2番目の秋田県が1 7 4 %。その一方、一番低い東京は1%という状況です。今、世界では「0キロメートル運動」というものが広まっています。その場でとれたものをその場で調理して食べるというもので、運送コストが削減され環境にも優しいのが特徴です。これはまさに、地産地消に通ずる考え方だと思います。特に日本には四季がありますから、そこで穫れたものを、その季節の旬として味わえるオーベルジュは貴重な存在と言えます。
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服部幸應さん

オーベルジュは、若い頃からフランスへ旅した際によく利用していました。「オー・ミラドー」が登場した時は、ついに日本にもできたかと思いましたね。フランスにおけるオーベルジュの歴史を調べてみたところ、1790年に、アルザス地方で「レストラン ポストデラ」という名の宿泊できるレストランが登場しています。1789年に起こったフランス革命と同じ頃ですから、馬車や馬で移動していた時代の話です。みなさんがオーベルジュを訪れた際には、そのような歴史というものにも思いをはせていただければと思います。



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剣持春男さん

司会:ソムリエとしての経験が長く、フランスの料理文化にも詳しい剣持さんは、日本のワイン文化の現在をどのようにお考えですか?

剣持さん:私はソムリエを40年近くやっておりますが、今のように、みなさんが家庭でワインを楽しむ時代が来るとは想像しておりませんでした。私がソムリエになった頃は、ソムリエは一流ホテルに1人いる程度。ワインも人気がなく、お客さまにワインをすすめてもほとんど断られましたが最近はワインの消費量が過去最高と言われています。それでも1人あたりの年間消費量は4リットル未満です。今のように世界中のワインが日本に入ってくるような時代は過去にありません。だからこそ日本のみなさんにも、もっとワインを飲んでいただきたいと思っています。
一般的に、その土地の料理には、その土地のワインが最も合うと言われています。日本のワインが世界で高く評価されるようになってきた今、地元の素材を使った料理に合う日本のワインも楽しめる環境だと思います。また、フランスやイタリアでも土着品種のブドウを使ったワインが評価を上げているので、ぜひ日本もそのようになって欲しいと願ってやみません。


司会:最後に勝又さん、この28年間で老舗オーベルジュと言われるようになりましたが、今後の展望についてお聞かせください。

勝又さん:フランス料理というものは景気に左右されるものだと、最近つくづく感じています。料理の世界に半世紀近く身を置き、景気の良い時代と悪い時代を繰り返し体験してきましたが、昨今の長引く景気低迷によって、フランス料理店も淘汰されているのが現状です。しかしながら、どの商品や仕事にも言えることだと思いますが、このような時代に耐えていくためには、幹を上へのばすよりも、しっかりと根を張ることが大切だと思っています。じっくりと世の中を見極めて、様々な方の力をお借りしながら、これからも日本オーベルジュ協会のみなさんと共に頑張って行きたいと思います。
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勝又登さん


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